フィラリア予防について

フィラリアという寄生虫がどんなものかご存知でしょうか?
イメージで言うと白いミミズのような虫です。
以前に比べるとだいぶ少なくなりましたが、近畿地方でもまだ感染例は毎年報告されています。

フィラリアは体内で悪さをします。

フィラリア予防

蚊の吸血により、蚊の体内にいるフィラリアの幼虫が犬の体内に入ります。
犬の体内に侵入した幼虫は約120日かけて成長しながら移動し、最終的には成虫(約30cm!)となって肺動脈や心臓に寄生します。
成虫の寄生により、血管、心臓の機能は障害され、放置すると死に至る場合もあります。

フィラリアが成虫になってしまった場合、体力がある子であれば、成虫を駆除する薬を使用しますが、この治療は死んだフィラリアが 肺の血管に詰まったりして命に関わる可能性 があります。
急性のフィラリア症では首の血管からカテーテルを入れてフィラリアを取り出す大がかりでリスクの高い手術が必要にな ります。

また、フィラリアを完全に退治することができたとしても、心臓、血管、肺へのダメージは大きく、元の元気な状態に戻すことは難しいです。
よって、フィラリアが幼虫でいる間にしっかりと駆虫しなくてはなりません。
この幼虫の間に駆虫を行い成虫にさせないこと が一般的に「フィラリアの予防」と言われるものです。
そのため1ヶ月に1回お薬でしっかり駆虫する必要があります。

予防期間としては、蚊が出始めてから1ヶ月以内から蚊がいなくなってから1ヶ月後になります。
地域や気候によって左右されますが、三木市・小野市周辺だと5月から11月末が平均的な予防期間になります。
特に最後の予防がとても大事なので最後まで忘れずに投薬を行い ましょう。

上田動物病院では、その子の好みや体調、生活習慣に合わせて錠剤のお薬、背中につけるスポットタイプのお薬、美味しいジャーキータイプのお薬、年に一度の注射タイプのお薬をご用意しております。
また、コリーやシェルティーは先天的な遺伝子異常があり、飲めるお薬が限定される場合がありますので、当院にご相談ください。

*フィラリア検査について

フィラリアの予防薬を始める前に、毎年血液検査をしてフィラリアの感染の有無を調べることが必要です。これはフィラリアが多く寄生した状態で予防薬を飲ませると、フィラリアが死ぬ際の毒素でショック症状を起こしたり、死んだ虫が血管に詰まったりして命に関わる場合があるからです。

猫のフィラリアについて

フィラリア症は犬だけの病気ではありません

フィラリア予防

実は猫にもフィラリアは感染します。ある研究によると10%程度の猫がフィラリアに感染していると言われています。感染経路は犬と同じく蚊の媒介ですが、寄生場所と症状が違います。

犬のフィラリアは成虫が心臓や肺動脈に寄生しますが、猫のフィラリアは成虫までは成長せず、幼虫が肺のあたりで留まって症状を引き起こします。
主な症状は、咳や呼吸困難、嘔吐などです。うちの子慢性的に咳が続いているなと思ったらまずご相談ください。
猫で起こる原因不明の突然死が実はフィラリア症によるものだったというケースも報告されています。

猫のフィラリア症は、犬より重篤な症状や突然死を招くことがあるにも関わらず、喘息などの他の病気と似ていたり、確定診断が難しいため見逃されがちな病気です。
そのため、 しっかりと予防を行うことがとても大事になります。

予防期間としては犬と同様で、蚊が出始めてから1ヶ月以内から蚊がいなくなってから1ヶ月後、つまり三木市周辺だとおおよそ5月から11月末となります。
予防薬は、猫用のフィラリアとノミの合剤が出ているので、月に1回それを背中につけて行います。
家でつけるのが難しい子は、病院でつけることも可能なのでご相談ください。

フィラリア症はかかってしまうと大変な病気ですが、ご家族の心がけ次第で予防できます。
猫ちゃんもしっかりフィラリア予防を始めることをお勧めします。